夜顔(ヨルガオ)の育て方:種まき~摘心~誘引~開花~採種までの観察

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夜顔(ヨルガオ)とは

夜顔(ヨルガオ)は、日がくれてから白く大きな花を咲かせる、ヒルガオ科の植物です。花からは甘い香りが漂い、夏から秋にかけての蒸し暑い夜を、純白の花がぼんやりと夜の闇に浮き立ち、幻想的な雰囲気で包んでくれます。

夜顔には、園芸種として「白花夕顔」や「赤花夕顔」などがあり「夕顔(ユウガオ)」の名で流通することが多いですが、本来の夕顔は、かんぴょうの原料となるウリ科の野菜で、夜顔と混同されますが別物です。「源氏物語」で出てくる夕顔は「かんぴょう」の方で、カボチャの花を白くしたような花が咲きます。

夜顔の育て方

芽切り(種まきの事前準備)

夜顔のタネは種皮が硬いので、芽を出しても殻を破れずに双葉が開かないことがあります。発芽の手助けをするために、水に浸す前に『芽切り』という作業をします。
これは、タネの背中側の硬い皮をヤスリなどで少し削って吸水を助け、発芽しやすくするためのものです。発芽部(胚芽)は、タネの尖った部分にありますから、ここを傷つけないようにします。

深さは中の白い部分が少し見える程度(種皮の一部を剥ぐ程度)です。あまり深く削りすぎると、双葉に穴が開くことがあるので注意します。失敗して大きな傷がついてしまっても、多くの場合発芽しますので、捨てずにまきましょう。
(参考)朝顔の例ですが、こちらに芽切りのやり方を写真付きで解説しています。

(2016.5.15撮影)

タネも呼吸をしています。一晩以上ドップリ水に浸けてると、呼吸できずに死んでしまうこともありますので、芽切りが終わったら、トレーにペーパータオルを敷き、タネを置いて、1~2日水に浸して、十分に膨らんだタネをまきます。
なお、市販のタネは、発芽処理済みのものも多いので、タネ袋の説明書で確認しましょう。

種まき

種まきには、鉢や地面に直接まいて育てるか、育苗ポットで苗になるまで育て植え替えるかの2通りの方法がありますが、ポットである程度育ててから、定植させる事にします。

タネをまく時期は5月中~下旬です。発芽適温が20~25℃なので早まきは禁物です。発芽部を下にして1~2cmの深さに蒔き、覆土を行い、日の当たる場所で管理していれば1週間ほどで発芽します。

(2016.5.15撮影)

去年採種したタネ45粒を、3粒づつ15個のポットに蒔きましたが、発芽率が悪く、発芽したのは5ポット5苗でした。
朝顔より2週間遅れの5月15日に種まきしたので、気温は25℃前後あったと思います。水に浸しただけで芽切りをしなかった朝顔は、100%発芽したのに、夜顔は、芽切りが不十分だったか、水分を十分に含ませられなかったのが原因かもしれません。

内、2株をご近所さんにおすそ分けし、玄関脇の緑のカーテンに2株、駐車場のトレリスに1株を植え付けます。

発芽

種まき後10日

発芽するまでは、水やりをかかさず、乾かないようにします。水やりは、朝早めではなく気温が上がってきたときに与えたほうが、地中の温度変化も少なくて済み、地中温度も高めに保てますのでお勧めです。

種まき後1週間で発芽し、10日目には双葉もしっかりと開きました。種も大きかったですが、双葉も大きいですね。本葉が出て、苗がしっかりしたら定植します。
双葉に小さな穴が開いているのは、芽切りの際、ヤスリで種皮を削りすぎたためで、この程度の穴開きは成長には影響しないので安心です。

(2016.5.25撮影)

本葉展開と施肥・支柱立て

種まき後3週間

本葉が伸び始め、本葉4枚が展開しました。仮支柱を立て、伸びてきたつるが倒れないように固定し、緩効性肥料を与えます。

(2016.6.5撮影)

摘心

種まき後1カ月

本葉が8枚開き、つるが30cmほどに生長したら、摘心のタイミングです。本葉を5枚残し、茎を切り取って摘心します。

(2016.6.16撮影)

摘心後、ポリポットにまいて育苗した場合は、底穴から白い根がわずかに見えたころ、根を切らないように定植します。

(2016.6.17撮影)

定植

夜顔は短日植物であるため、夜も明るい場所で育てていると、花芽がつかないことがあります。置き(植え)場所は、夜間に照明が当たらない場所を選びます。

生育が旺盛なので、植えつけは、約30~40cm間隔で地植えにするか、または、大型のプランターや9~10号鉢に1株植えにします。
連作が苦手ですので、ヒルガオ科の植物を植えた土壌では育てないようにします。

本葉5枚目で適心し、9号鉢に定植した夜顔の苗。

(2016.6.17撮影)

本葉1枚目、2枚目の付け根にある脇芽も大きく育ってきています。

(2016.6.17撮影)

ネット張り(緑のカーテンの準備)

2日前に適心&定植したばかりで、少し早いですが、玄関脇の植え込みに180x180cm(10cmメッシュ)のネットを設置し、緑のカーテンの準備します。

(2016.6.19撮影)

駐車場のトレリスにも、プランターに定植しました。

(2016.6.19撮影)

適心して2日目ですが、本葉5枚目と4枚目の付け根から脇芽が成長し始めています。本葉1枚目、2枚目の脇芽の成長は鈍ったかも?

(2016.6.19撮影)

蔓の誘引

種まき後1.5カ月

わき芽が少し生えてつるが50cmほどになったら、鉢植えはあんどん支柱、プランターや地植えならフェンスやネットを準備し、誘引していきます。

つるがある程度伸びてきたら、子つる、孫つるの摘心を行って、脇芽を増やし、それぞれが絡まないように、支柱やネットに誘引すると、まんべんなく花がついて、ボリュームのあるきれいな株に仕立てるポイントです。

親つる摘心後、子つるが3本伸びてきたので、ひもでネットに誘引します。

(2016.7.3撮影)

子つるも本葉5枚目で摘心、孫つる(黄○)が伸びてきました。

(2016.7.3撮影)

種まき後2カ月(定植後1カ月)

玄関脇ネットのつるもネットの先端近くまで順調に伸びています。

(2016.7.17撮影)

駐車場のトレリスの状況

(2016.7.17撮影)

開花・受粉

一番花の開花:種まき後2カ月と1週間(定植後1カ月と1週間)

種まき後2カ月と1週間(定植後1カ月と1週間)に最初の花が咲きました。花の直径15~20センチの大きな真っ白い花です。夏の開花は14~16時くらいで早朝まで咲いています。

玄関脇のネットの一番花のつぼみ
(2016.7.23撮影)

夕方4時ごろには開花しました。
(2016.7.23撮影)

2日遅れて、駐車場トレリスにも一番花が咲きました。
(2016.7.25撮影)

朝顔の場合は、無理に花ガラを摘まなくても問題ありませんが、夜顔の場合は花ガラを摘むようにすると、株の勢いが弱まることがないのでおすすめです。花ガラをそのままにしておくと、種を作るために養分を使ってしまい、だんだんと花付きが悪くなります。

夜顔の実は花の大きさに比例して、朝顔よりも大きいものがつきます。その分、体力の消耗も激しくなるので、種を採取する予定がない場合は、こまめに花ガラを摘むようにしましょう。

夜に咲く夜顔の受粉を助けているのは、夜行性のガの仲間のエビガラスズメです。エビガラスズメの舌は伸ばすと10cmと長く、漏斗状の花の奥深くにある蜜を吸うことができます。
夕暮時に花みつを求めて飛び回り、月明かりの元、白い花はよく目立ち、香りにも誘われて、夜間灯火にも飛来します。

採種・ふやし方

夜顔も最盛期を過ぎて、大きなたくさんのタネを実らせています。

朝顔と同じようにタネを採取してふやすことができます。充実したタネが採取できるのは、11月に入ってからです。大きく膨らんだ紫色の果実ができていれば、中に数粒のタネが入っています。タネは白色をしていますが、未熟ではありません。

朝顔に比べて結実が遅いので、それまでは株を片づけずに気長に待ちましょう。採種したら、冷暗所で乾燥保存して来年用に供します。

初心者でも簡単:緑のカーテンに向く植物

緑のカーテンには、大きく分けて「野菜」「花」「果物」があります。初心者にも育てやすく失敗のないものを選ぶとしたら、野菜ならゴーヤ、花なら朝顔、果物ならパッションフルーツがお勧めです。

朝顔にもいろいろ種類があります。大きく分けると、

  • 日本朝顔
  • 西洋朝顔(ヘブンリーブルーとスカーレットオハラ)
  • ノアサガオ(宿根アサガオ)の琉球朝顔(オーシャンブルー、クリスタルブルー)

緑のカーテンにするには、タネから育てられ、背丈がよく伸びる「西洋朝顔」がお勧めです。


(参考)花ごころ
日本で古くから親しまれている日本朝顔が、早朝に咲いてすぐにしぼんでしまうのに対し、西洋朝顔や琉球朝顔は、夕方近くまで咲き続けます。
夜顔と西洋朝顔(または琉球朝顔)を混植すれば、朝から夕方は西洋朝顔(琉球朝顔)、夕方からは夜顔と、1日のうちに花色の違う2種類の緑のカーテンを楽しめ、開花期も夜顔と同じく長く、6月下旬~11月頃まで咲き続けますので、長い期間楽しみたいならお勧めです。

琉球朝顔は、タネができにくいので、挿し木で増やしますが、午前は青色、午後はピンク色など、花色の変化が楽しめるものが多いです。


【夜顔年間管理表】 (参考)ヨルガオの育て方/住友化学園芸

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