メダカが泳ぐハス鉢ビオトープ作り
ビオトープとは?水辺の植物と生き物が暮らす自然の生態系を人工的に再現した生息環境。
自分の手で小さな自然を作り出すビオトープ、メダカなどの水生生物が元気に育つ環境は、水生植物にとっても素晴らしい環境です。綺麗な花を咲かせる水生植物と、水面から差し込む光に呼応し、えも言えない美しさをみせるメダカの住むビオトープを楽しんで見てはいかがでしょう。
屋外でハスと一緒にメダカを入れて育てると、鉢に湧くボウフラ(蚊の幼虫)を食べてくれ、フンが多少の肥料にもなる??というおまけもあるので、共存させたい生き物です。
- 水鉢:大和プラスチック鉢カバー ツリー10号(口径43㎝、高さ38㎝、容量28.5L)
- ハス(蓮):立ち葉2本+幼葉1本、浮き葉4枚、水位15㎝
- メダカ:(かねだい東戸塚店、10匹214円、餌:テトラ・キリミン35g 108円)
(撮影:2019年6月18日)
ビオトープ作りに必要なもの
ビオトープに合ったサイズやデザインの鉢を選び、メダカの数や水草の量は鉢のサイズに合わせて用意します。
- 水鉢・容器
- メダカ
- 水(カルキを抜いたもの)
- 底土(底床に敷く砂利または土)
適切な土や砂利を敷くことで、バクテリアを繁殖させ水質悪化を防ぎます。 -
水草(浮き草や藻などビオトープに適しているもの)
水草は産卵場所になるとともに、一緒に添えることで、水質を浄化し、光合成で酸素を発生してくれます。また、フンや水の汚れはバクテリアが分解したり水草が栄養分として吸収してくれます。 -
タニシなどの貝(いなくてもOK)
ヒメタニシ、オオタニシは、淡水の貝としては石巻貝と並ぶ人気で、野生でもメダカとは近い環境に生息しています。しかも飼いやすく、水鉢の苔やメダカの食べ残しを片づけて、ビオトープをきれいにしてくれます。冬越しも可能です。 - メダカ用のえさ少量
ビオトープの作り方
- 水鉢を軽く水洗いする
- 床底用の砂利を水洗いし底に敷く(土を敷く場合は粘土質の土を使用する)
- 水草を設置する
- カルキを抜いた水を鉢の8分目程度まで入れる
- 1日置いて水が綺麗に澄んで濁りがなくなったら、メダカを水鉢の中に放して完成
ビオトープの掃除・水替え
立ち上げて1年は足し水だけで、ほとんど掃除は必要ありません。苔が生えすぎると、水草に光が届かなくなるので、苔を取り除いたり、増えすぎた水草を間引きます。底砂に溜まった糞は水草が栄養として吸収してくれるので、取り除く必要はありません。
立ち上げて2年ほど経過したら全換水を行いましょう。ハス鉢ビオトープの場合は、冬越ししたレンコンを、春に植え付け・株分けするタイミングで掃除・水替えをすると良いでしょう。
- メダカを飼育水ごとバケツに移動する
- 水草を取り除く
- 砂利を水道水で洗う
- 水草や石を水道水で洗う
- バケツの飼育水を1/3ほど戻す
- カルキ抜きした水道水を容器に入れる
容器の大きさとメダカの適正数~1cmの魚1匹に水1リットル
メダカにとっての水は、人間にとっての空気と同じです。飼育できる魚の数は容器の水量で決まります。水質の悪化を起こさず、きれいな水を維持して、魚がストレスなく生きていくには「1cmの魚1匹に水1リットル」と言われてます。メダカの成魚を3cmとすれば、30Lの容量に10匹が、健康に生活するための適正数になります。
メダカを入れる前に~水合わせ
メダカを買ってきたら、容器に入れる前にまず「水合わせ」を行います。水中の生き物にとって水は空気のようなもので、急激に変化することでショックを起こしてしまう事があります。水合わせをすることによってメダカの環境変化による負担を和らげることができます。
- カルキを抜くために一日くみ置きをした水を使います。
- 買ってきた袋のまま水鉢に30~40分浮かべます。(水温合わせ)
- 袋の中に水鉢の水を少し入れて10分ほど浮かべ、この作業を2~3回行います。(水質合わせ)
- 袋の水が汚れている場合は、メダカだけすくい水鉢に移します。
メダカの餌やり~やりすぎに注意
メダカは水中の微生物を食べて育つ上、鉢内に発生したボウフラもメダカのえさになります。そのため、こまめにえさを与える必要はありません。鉢の様子を見て、必要であれば与える程度に留めます。
メダカは食欲が旺盛のため、餌を与えた分だけ食べてくれます。屋外飼育だと容器に餌となる植物プランクトンが自然と発生するので、夏場は1日に1回で問題ありません。冬場はまったく動かないので餌をあげる必要がありません。
メダカは丈夫な魚であり、2〜3日に1回の餌でも死ぬことはなく、少ないかなというくらいがちょうどいいです。成魚10匹当たり、耳かき1杯の量を1日2回を目安にします。
メダカの冬眠~12月-3月上旬
メダカと水温
メダカの生育・繁殖の適温は、20℃~28℃位ですが、季節による温度変化に対しては、最低1℃位~最高35℃位までの水温に適応できるようです。
- メダカに適した水温は20℃~28℃
- 産卵を始める水温は20℃以上、孵化に適した水温は25℃
- メダカが生きていける水温は1℃以上35℃以内
- 餌をほとんど食べなくなる水温は約10℃以下
- 冬眠に入る水温は約5℃以下
冬眠対策
基本的には冬眠対策をせずともメダカは冬を越すことができますが、必要なら、冬眠のための冬支度・冬対策をしておくといいでしょう。
- 水鉢の設置場所は、風が直接当たらない日当たりの良い屋外
- 水鉢は水深の深いものを使用する(凍結防止)
- 秋が深まる前に水鉢を綺麗に、水替えとヤゴなどの水生昆虫をチェック(天敵駆除)
- 冬場の水替えは0回でOK
- 透明なビニールやスダレなどで蓋をする(雪・霜除け、鳥対策)
- 水鉢と地面との間に敷き物をしたりプチプチを巻く(保温・断熱効果)
メダカの冬眠
秋の終り11月になり、水温が15℃を下回るようになるとメダカの活動も鈍り、餌を食べる量も減ってきます。餌の量を調整しながら徐々に与える量を減らしていきましょう。
メダカは変温動物ですので、水温が下がると体温も下がってしまい、体温の変化に合わせて消化能力も変化します。水温の下がる早朝や夕方に餌を与えると消化不良を起こし易く、体調を崩す元になるので、餌やりは水温の上がった昼頃にします。
さらに水温が10℃以下に下がると、徐々に休眠状態に入り、水温が5℃を切ると底でじっと動かなくなり冬眠状態に入ります。餌を与えても水面に上がって来なくなったら、餌やりを止めるサインです。そのような状態になったら餌やりを止めて越冬(12月から3月上旬まで)させましょう。
越冬中は乾燥で思いのほか水が蒸発するので、足し水をする時は水温を揃え、底の汚れを舞い上げないように、少しづつそっと注ぎます。
春3月になり水温が高くなってくると、メダカが冬眠から目覚め活動を始めます。最初はほんの少し餌を与え、水温が温かくなるにつれ餌の量を増やしていきます。4月~5月頃になると、普通に餌を与えて大丈夫です。
メダカの繁殖にトライ~成功させるコツ
参考メダカを殖やす|神畑養魚株式会社
メダカ飼育の醍醐味の一つは採卵から孵化までを楽しむことがあげられると思います。メダカは水温が上がってくる時期になると繁殖活動がさかんになり、自然と繁殖してくれます。
成功のポイントは二つ
-
容器を稚魚専用にする~天敵(親メダカ、ボウフラ)に食べられないように
メダカは早朝に産卵し午前中はメスのお腹に卵がくっついていますが、午後には水草に産み付けます。午前中に産卵を確認したら、午後には水草を引き上げて、飼育用の容器に移し、天敵から守ります。 - 稚魚用の餌をあげる~稚魚用の餌を与えた方が生存率は高くなる
針子は、おなかの栄養袋(ヨークサック)がなくなってから、2週間ぐらいまでが最も死亡率が高いです。この時期に餌を食べれない針子は、どんどん餓死していきます。これを防ぐために稚魚用の餌を与えます。
繁殖に必要な道具
採卵用の産卵床:ジェックス メダカ元気 卵のお守り産卵床 白
卵・稚魚飼育用容器:ジェックス メダカ元気 育成メッシュ 丸型
(撮影:2019年7月8日)
採卵用の産卵床
メダカの産卵床用の水草にはホテイアオイがベストです。ホテイアオイが水の浄化と酸素供給の役割も果たしてくれます。根の部分が、なるべく張りがあって茂って伸びている、元気なものを選びます。
または、採卵用の専用産卵床を利用してもOKです。専用産卵床には、卵の付着状況が見分けやすいというメリットがあります。
卵・稚魚飼育用容器
親メダカは容器内の卵や稚魚を食べてしまうので、親メダカと卵・稚魚は必ず隔離して別々に飼います。稚魚用のコンパクトな容器や育成メッシュなどが稚魚飼育に最適です。
【育成メッシュの使用感】
- 親と同じ容器で稚魚を育てられ、水面にプカプカと浮いているので餌やりも楽だし、観察もしやすいです。
- フレームがあって、丈夫で型崩れしないのは便利ですが、容量が小さいので稚魚20匹ぐらいはOKと思いますが、大量飼育には向いてません。
- 長期に使用していると、メッシュに苔や藻が着いて水の通りが悪くなるので、こまめなメンテナンス(水洗い)が必要です。掃除のことを考えて複数個持っているとメンテナンスがスムーズかも。
- 上面カバーがないので、屋外で飼う場合はボウフラ対策用に網戸用の網などで、上置きタイプの取り外し容易なカバーを自作するとよいと思います。
親メダカの飛び込み防止にもなります。
実際の飼育の様子
メダカビオトープ容器内の2週間分の産卵床(ホテイアオイ)を、飼育用容器(100均の8Lのポリバケツ)に移し親メダカと隔離します。
(※最初は育成メッシュを使用してましたが、飼育数が増えたのでポリバケツに変更)
飼育用容器はボウフラが湧かないよう園芸用「不織布」で全体をカバーをして、真夏の直射日光が当たる場合は「巻きす」で遮光しています(左)。
容器内には、自然に出来上がったグリーンウォーターとホテイアオイに、孵化後1ヶ月の稚魚から1週間の針子まで、100匹ほどが混泳しています(右)。
稚魚の育成に最適のグリーンウォーター(青水)
グリーンウォーター(青水)とは
水中で植物性プランクトンが発生し、緑色に見える水をグリーンウォーター(青水)と呼びます。このグリーンウォーターがメダカの育成にとても効果的で、
- 植物性プランクトンが稚魚の餌になる
- 糞に含まれる有害な窒素化合物等を植物性プランクトンが栄養分として吸収してくれる
ので、稚魚の育成には最適な水となります。
グリーンウォーター(青水)の作り方~水温管理が大事
植物プランクトンが一番活発に活動する水温は20℃~28℃前後と言われています。グリーンウォーター作りには水温管理が大事です。
春先や初夏などの気温が安定している時期は一日中外に置いておくだけでグリーンウォーターができますが、夏場は直射日光を当て続けることにより水温はどんどん上昇してしまい、30℃を軽く超えてしまうことも珍しくありません。
夏場には室内の窓辺に移動させたり、あまりにも暑い日中には木陰に移動させるなどの配慮が必要となってきます。逆に、水温の低い晩秋や冬はグリーンウォーター作りには向いていません。
- 容器に水をためて、よく日光の当たる場所に置きます。1ヶ月ほどすると、珪藻類が発生して水が緑色に変化して、さらに進行すると、大抵の場合、珪藻類は容器の表面に付着するか、底に溜まるようになり、水は薄緑色で透き通るようになります。この水をグリーンウォーターと呼びます。
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もっと早く作るには、バケツに、1ヶ月くらい水替えしていない飼育水(=硝酸塩を多く含む、青水化に必要)を入れて、メダカを2~3匹(=排泄物にアンモニア&亜硝酸塩を含み植物プランクトンの肥料となる)、その他は何も入れずに日光がよく当たる場所に10日前後放置すると、早くグリーンウォーターが作れるようです。
- 水替えで不用になった飼育水に、グリーンウォーターの種水を加えて、よく日光の当たる場所に置くと、さらに早く、4日ほどで作れます。
水替えで不用になった飼育水にグリーンウォーターの種水を加えたもの(左)、カルキ抜きのためくみ置きした水道水(右)
グリーンウォーター(青水)飼育の注意点
植物プランクトンが殖えすぎると、夜間に消費する酸素の量が増加し、酸欠を引き起こしてしまいますので、定期的に濃さをチェックしましょう。
緑茶の色くらいの濃さならOKです。これ以上濃くなりすぎた場合、足し水をして濃度を薄くしてあげます。日光が強い夏場は、植物プランクトンの増殖スピードが早いので、こまめに観察すると良いでしょう。
また、グリーンウォーターは容器の中が見え難いので、ボウフラやヤゴなどが混入してしまったときなどに、知らぬ間に稚魚が食べられてしまう恐れもありますので注意します。
卵を産ませるための条件~日照時間13時間、水温25℃を基本
メダカは春~秋(4月~10月頃)にかけて産卵をします。それは、日照時間と水温が大きく関わっています。
日照時間:1日約13時間以上の光が必要
メダカの産卵の条件の1つに「日照の長さ」があります。1日のうち明るい時間が約13時間以上になると繁殖できるようになります。
水温:適温20℃~25℃をキープ
比較的水温に対する適応能力の高いメダカですが、20℃以上の水温で産卵を始めると言われていますが、孵化に適した水温25℃を維持すると成功率が高くなります。
産卵から稚魚の育成まで
産卵~無精卵は除去
- 産卵が近くなるとメスのおなかはパンパンに膨れ、オスがメスに寄り添って泳ぐようになります。
- さらに時間がたつと、メスはおなかにぶら下げるような形で体外に卵を放出します。 このときペアとなっているオスが卵に精子をふりかけ、受精します。
- その後、メスは産卵床となる水草やネットの中に入り、卵を産み付けていきます。 産卵床に卵がついていることを確認したら、産卵床ごと他の容器に移します。
有精卵は透明で、手でつまんだくらいでは簡単には潰れません。
無精卵は白く濁っており、手でつまむと簡単に潰れてしまいます。無精卵は水カビの発生などの原因になりますので取り除きましょう。- 10月になったら採卵をストップしましょう。 メダカが孵化し、越冬できる成魚になるまで最低3ヶ月かかります。今孵化した稚魚は、冬までに成魚になる事が出来ません。
孵化~孵化には 250℃日 必要
- 卵が孵化するまでの日数には水温が大きく関係しています。「孵化には 250℃日 必要」と言われ、水温が高ければ早く孵化し、低ければ孵化までに時間がかかります。
- 水温を25℃辺りで維持すると徐々に卵の中も変化を始め、10日ほどで孵化が始まります。20℃とかですとちょっと厳しく、なかなか孵化してこずにそのまま死んでしまうこともあります。
- 生まれたばかりの稚魚はおなかに栄養のかたまりを持っていて、2~3日はこの栄養を消費して過ごします。
- 餌を食べるようになったら、グリーンウォーターの中で植物性プランクトンで育成するか、植物性プランクトンが無い状況なら、粒の細かい稚魚用の粉末飼料を与えます。
稚魚の育成
- 孵化直後:体長 約 4~5 mm
メダカの稚魚は最初の2週間で餓死する事が多く、その2週間を乗り越えたら一安心です。孵化して間もないメダカは、水温や水質の変化に弱く、ちょっとしたショックで死んでしまいます。また泳力もほとんどないため、吸い込み式のろ過を使うのはNGです。
(撮影:2019年7月2日)
(撮影:2019年7月5日)孵化直後 - 孵化後、約1週間:体長 約 5 mm
稚魚(針子)の数も増えてきました。順調に育っているみたいですが、まだまだ針のように体は細く、稚魚用の人工飼料を与えています(水面に浮いているのが粉末飼料)。形がはっきりわかるように若干大きくなってきた気がします。動きも活発になり、ちょっと動いては止まり、動いては止まりの繰り返しです。
(撮影:2019年7月12日) - 孵化後、約1ヶ月:体長 約 1.5 cm
少しずつメダカらしい体型になってきました。体色が色づき始めている個体もちらほら出てきました。孵化後1ヶ月の稚魚から1週間の針子まで混泳しています
(撮影:2019年8月5日) - 孵化後、約2ヶ月:体長 約 2.5 cm
ここまで育つとメダカだと分かります。
(撮影:2019年9月7日) - 孵化後、約3ヶ月:体長 約 3 cm
いわゆる『成魚』の姿です。 もう繁殖をさせることも可能な大きさです。